発電所の管理・雑草課題

【警告】太陽光発電所のフェンス倒壊は「ツル性植物」が原因?見落としがちな雑草リスクと対策

太陽光発電所を所有・管理していく中で、「なんとなく雑草が伸びてきたけれど、まだ大丈夫だろう」と放置していませんか?

草刈りのコストや手間を考えると、つい後回しにしがちな雑草対策。しかし、発電所において最も警戒すべき隠れた脅威があります。それが「ツル性植物(ツル草)」です。

単なる景観の悪化や、パネルへの影による発電量低下だけではありません。放置されたツル性植物は、最悪の場合「発電所の設備倒壊」という致命的な事態を引き起こします。

この記事では、ツル性植物が引き起こす物理的なリスクと、絶対に知っておくべき「見えない損失」について解説します。


なぜツル性植物が太陽光発電所にとって「致命的な脅威」なのか?

雑草の中でも、クズやヤブガラシなどに代表される「ツル性植物」は、他の雑草とは比較にならないほどの成長力と厄介な性質を持っています。

フェンスや架台への物理的な負荷

成長力の強いつる性植物は、地面を這うだけでなく、敷地境界のフェンスやパネルの架台に巻き付いて成長します。これが設備に対する強烈な「物理的負荷」を生み出します。

  • 強風時の「帆」になるリスク 植物がフェンスの網目を塞ぐように密生して巻き付いた状態で台風や突風などの強風を受けると、ツルや葉が風を孕(はら)んでしまいます。本来なら風が抜けるはずのフェンスが「巨大な帆」のようになり、過度な荷重がかかります。
  • 支柱の傾きと倒壊 結果として、フェンスの支柱が風圧と植物の重量に耐えきれず、根元から傾いたり、最悪の場合は広範囲にわたって倒壊したりする原因になります。

一度巻き付いたツルは非常に強靭で、人力で剥がし取るだけでも莫大な労力がかかります。

雑草を甘く見てはいけない。時には太陽光発電所の設備を破壊してしまうこともある。

中略

右側をよく見てほしい。ただの雑草の固まりではなく、フェンスにまとわりついた雑草なのだ。この雑草のせいで、フェンスが傾いてしまっている。

雑草があることで、風の影響を強く受け、想定以上の負荷がかかってしまうことが原因だ。
まとわりついた雑草を放置していると、この写真のようにフェンスが傾き、そのうち倒壊してしまうだろう。

引用:一般社団法人新エネルギーO&M協議会(JOMARE)除草を怠りフェンスが倒壊 No.17

専門機関も警鐘を鳴らす「ツル系雑草」の危険性

このツル性植物による被害は決して珍しいケースではなく、業界全体での課題となっています。太陽光発電所の適切なO&M(運用・保守)を推進する専門機関も、その脅威について明確に警鐘を鳴らしています。

中でも厄介なのはツル系雑草である。これらはフェンス外から侵入し、架台に巻き付き、最終的にパネル上にまで這い上がり、著しい発電低下を招く。

引用:一般社団法人新エネルギーO&M協議会(JOMARE)発電所に忍び寄るツル系雑草の脅威 No.103

専門機関のコラムでも指摘されている通り、ツル系雑草はパネルの隙間や架台、フェンスなどあらゆる構造物に侵入し、発電所の安全な運営を根底から脅かします。初期段階での発見と駆除がいかに重要かがわかります。


設備破損がもたらす「見えない損失(ダウンタイム)」とは?

「万が一フェンスが倒れたり架台が壊れても、損害保険に入っているから大丈夫」と考えているオーナー様も多いかもしれません。

しかし、ここで見落としてはならないのが「事業のダウンタイム(稼働停止期間)」です。

物理的な設備破損が発生した場合、以下のようなプロセスが発生します。

  1. 被害状況の確認と保険会社への申請
  2. 復旧工事のための業者手配と部材調達
  3. 実際の修繕工事

昨今は資材不足や業者の人手不足もあり、フェンスや架台の修繕に数ヶ月を要するケースも珍しくありません。物理的な設備破損は、保険適用の可否に関わらず、この期間の事業ダウンタイムを生じさせます。

設備が破損し、近隣クレームや安全上の理由から発電を停止せざるを得なくなった場合、その間の売電収入はゼロになります。保険で設備の修理代はカバーできても、長期間にわたる「本来得られるはずだった利益の損失」や「近隣住民からの信頼失墜」までは完全にはカバーしきれません。


手遅れになる前に!オーナーが取るべき初期対策

ツル性植物による被害を防ぐためには、「巻き付かれてから対処する」のではなく、「巻き付かれる前、あるいは初期段階で断つ」ことが鉄則です。

  • 定期的な巡回と目視点検 フェンス際や架台の足元に、ツル状の植物が這い始めていないか、定期的に確認しましょう。
  • 防草シートの適切な敷設 フェンスの外周や架台の下など、ツルが侵入しやすい経路に防草シートを敷き、成長を物理的にブロックします。
  • 専門業者による定期的な除草・除草剤散布 素人の草刈りでは、ツルの根を絶つことは困難です。太陽光発電所の管理に長けたO&M業者へ相談し、年間を通じた計画的な雑草対策を依頼することをおすすめします。

「たかが雑草」という認識は、発電所経営において非常に危険です。 大切な資産と長期的な売電収入を守るためにも、一度ご自身の発電所のフェンス周りを見直してみてはいかがでしょうか。


まとめ:「たかが雑草」の放置が引き起こす致命的なリスクに備えよう

太陽光発電所の管理において、ツル性植物の放置は単なる「見た目の問題」や「発電量の低下」に留まりません。本記事で解説した重要なポイントを振り返ります。

  • フェンスや架台への甚大な物理的負荷 巻き付いたツルが「帆」の役割を果たして強風を孕み、フェンスの傾きや倒壊などの設備破損を引き起こします。
  • 専門機関も警告する深刻な被害 JOMARE(新エネルギーO&M協議会)の報告にもある通り、ツル系雑草の脅威は業界全体で警戒すべき重大なリスクです。
  • 保険だけでは補いきれない「ダウンタイム」の損失 設備の修繕費は保険でカバーできても、復旧工事が完了するまでの「売電停止期間(ダウンタイム)」がもたらす利益損失は計り知れません。

「まだ大丈夫だろう」「次回の草刈りでまとめて対処しよう」と対策を先延ばしにするほど、ツル性植物はより強固に設備に絡みつき、取り除くだけでも多大なコストがかかるようになります。

現在、発電所の管理に漠然とした不安を感じているオーナー様は、手遅れになる前に「現状の把握(目視点検)」から始めましょう。もしご自身での対策や定期的な巡回が難しい場合は、O&M業者へ相談し、プロによる「確実なリスク管理」を取り入れることを強くおすすめします。

参考文献

  1. 一般社団法人新エネルギーO&M協議会(JOMARE)除草を怠りフェンスが倒壊 No.17
  2. 一般社団法人新エネルギーO&M協議会(JOMARE)発電所に忍び寄るツル系雑草の脅威 No.103

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  • この記事を書いた人

颯 Sou@ITエンジニア

京都大学大学院の航空宇宙工学専攻の修士課程を卒業。10年サラリーマンを経験し資金をため独立。その後7年間ITビジネスを学ぶ。現在、衛星データ活用のスタートアップを開始。

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