太陽光発電所の維持管理では、「草刈りはコストがかかるから、できるだけ回数を減らしたい」と考える方も多いでしょう。
しかし、草刈り費用だけを見て回数を減らしてしまうと、発電量の低下による売電損失が、草刈り費用を大きく上回る可能性があります。
実際に、一般社団法人新エネルギーO&M協議会(JOMARE)が公開した事例では、年2回の草刈りでは十分ではない発電所が多く確認されています。
本記事では、雑草が発電量に与える影響と、売電損失を防ぐための管理方法について解説します。
雑草は景観の問題ではなく、売電収入に直結する問題
太陽光パネルは、セル全体に均一に太陽光が当たることで最大の発電性能を発揮します。
しかし、雑草が成長すると、
- パネルの下部に影ができる
- 一部のセルだけ発電量が低下する
- 一部のパネルに影がかかることでストリング全体の出力が低下する
- ホットスポット発生リスクが高まる
などの問題が発生します。
その結果、雑草は景観の問題ではなく、売電収入に直結する問題となります。
草刈り費用より大きい「売電損失」
一般社団法人新エネルギーO&M協議会(JOMARE)の機関誌
「野立て太陽光発電所は、年3回の除草が必要な時代に No.94」
では、年2回草刈りを実施している発電所9区画を対象に経年監視が行われました。
その結果、
- 1区画は年2回で十分
- 8区画では年2回では雑草管理が不十分となり、発電低下が確認された
と報告されています。
つまり、多くの発電所では、年2回では雑草の成長を十分に抑えられなかったことが分かります。
JOMAREが示した売電損失モデル
JOMAREでは、年間売電収入200万円のモデルケースとして、草刈り回数ごとの売電損失額を紹介しています。
| 草刈り回数 | 草刈り費用 | 売電損失額 |
|---|---|---|
| 草刈りなし | 0円 | 約35万円 |
| 年1回 | 約5万円 | 約25万円 |
| 年2回 | 約9万円 | 約19万円 |
この結果から分かるのは、
草刈り費用は回数を減らせば数万円削減でき、いっそやらなければ出費を0円にすることもできる。ただし、浮かせた費用よりもずっと大きな売電損失額が発生する。
引用:一般社団法人新エネルギーO&M協議会(JOMARE)「野立て太陽光発電所は、年3回の除草が必要な時代に No.94」
目先の数万円の費用削減に固執して、結果的に大きな損失を招いている例が少なくない。
売電損失は発電所によって異なる
もちろん、この数値はモデルケースです。
実際には、
- 地域
- 雑草の種類
- パネルの高さ
- 土地条件
- 降雨量
- 日照条件
によって大きく変わります。
北海道と九州では雑草の生育速度が異なりますし、同じ地域でも毎年気象条件は変化します。
そのため、
「毎年7月に草刈り」
という固定スケジュールではなく、
雑草の生育状況を見ながら判断することが重要になります。
草刈り回数より「タイミング」が重要
例えば、
- 雑草がまだ低い段階で草刈りを行えば、効果が長く続く場合があります。
- 逆に、雑草がパネルにかかってから草刈りをすると、その期間の発電損失は取り戻せません。
つまり、
重要なのは
「年何回草刈りするか」ではなく、「雑草が発電へ影響する前に実施すること」
です。
衛星データなら現地へ行かずに雑草の状況を把握できる
近年では、衛星データを利用することで、
- 雑草が急激に成長している場所
- 草刈り後の植生回復
- 発電所ごとの雑草の違い
を遠隔から確認できるようになっています。
特にNDVI(植生指数)を利用すると、植生の活発さを視覚的に把握できるため、
- 「まだ草刈りは不要」
- 「そろそろ実施した方がよい」
といった判断材料として活用できます。
現地巡回の回数を減らしながら、効率的な維持管理につなげることができます。
現状、β版前チェック中です。β版リリース情報はLINE公式に登録してお待ちください。

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まとめ「太陽光発電の雑草は発電量にどれくらい影響する?草刈り費用より大きい「売電損失」とは」
雑草対策は、単なる維持管理コストではありません。
JOMAREの事例では、年2回の草刈りでは十分ではない発電所が多く確認され、草刈り回数を減らしたことで売電損失が拡大する可能性が示されています。
重要なのは、
- 草刈り費用だけで判断しないこと
- 発電損失まで含めて考えること
- 雑草が発電へ影響する前に対策すること
です。
適切なタイミングで雑草管理を行うことが、長期的には発電量を維持し、収益を守ることにつながります。

